神の帳(かみのとばり)

神の帳は、「生きている者がどのような因果の道筋を歩み、どこへ向かっているのか」を示すために、 世界因果が清書した“表の記録”である。帳は死者の履歴を残さない。人は死んだ瞬間、帳からその名を消される。 だから帳に残る線は、常に“いま死に向かっている生者”だけで構成される。

図1:帳に記されるまでの流れ
現実世界
生者がどんな因果を持ち、どこへ向かうか。
死者はここで“因果の線を失う”。
世界因果
生者の因果線を補修し、矛盾を整える。
死者に関わる線はここで切断され、外へ排除される。
神の帳
補修後の“生者の因果”だけを清書した記録。
死者の線は残らない。

帳には、世界因果の内部でどんな補修があったかまでは書かれない。 系譜のすり替え、断絶、隠された血脈といった“裏側の工程”は省かれ、 いま成立している一筋の線だけが記される。 だから帳は、あくまで「現在進行中の因果の地図」であり、過去の履歴書ではない。

図2:帳が扱う情報の層
血の線
“いま生きている者”の血脈だけが記される。
死んだ人物の線は即座に消され、因果地図から外れる。
出来事の記録
生者が“どの死へ向かっているか”に影響する出来事のみ記録される。
死に到達した瞬間、その人物の項目は消える。
感情や細部
当人の内面や些細な選択は原則として載らない。
帳はあくまで“生者の因果の進路”だけを抽出する。

澪が視る帳は「生きている者が死へ向かう道筋」を示すものであり、死者の記録ではない。 飴色・菫色などの異常な色は帳の内側ではなく、その外側――世界因果の縫い目に生じる濁りであり、 ひかりと澪が追うべき“危険な死の流れ”を示している。