世界の因果律

世界因果イメージ

世界の根幹にある法則は、ひとつしかない。

――存在が先、血は後。

ある生命が「世界にすでに存在している」場合、 その存在を成り立たせるための血脈は、後から必ず補修される。

因果律の図解

C
Cause(原因)。
過去に介入して世界線を乱す行為。
R
Rule(因果律)。
矛盾を検知し、どの事実を優先するか判定する層。
E
Exist(存在)。
すでに「ここにいる」生命そのもの。
C
過去への介入

誰かが過去に遡って、自分の父親を殺すなど、 本来とは異なる行為を行い、時間線に矛盾を生じさせる。

矛盾の発生
R
世界因果層

世界因果は、「すでに世界に存在している生命」を優先する。 父が変わろうと、その子どもが「いる」という事実のほうが重い。

補修の決定
補修ポイント(縫い目)

因果律は、父Aの代わりに父Bなど別の血脈を選び、 「この子が生まれる経路」を別ルートから繋ぎ直す。

存在の層へ
E
存在の層(個人世界)

補修後の世界では、子どもは自然に「別の父」の子として生まれている。 本人も周囲も、それを疑問に思わない。ただ、世界の深層には縫い目が残る。

R
世界因果層
存在を保つために血脈を補修し、 歴史の破綻を縫い直す層。
補修ポイント
E
存在の層(個人世界)
すでに存在してしまった生命を保持する層。 父が変わっても子は消えない。

タイムパラドックスの解

たとえば、誰かが過去に遡って自分の父親を殺したとしても、 「その子」は消えない。

世界は“その存在を存続させるための新しい血脈”を、 別の線から補い、繋ぎ直す。

血は存在の後から決まる。 これが世界因果による“補修”なのである。

……ここだけを聞くと、「何を勝手なことを言っているんだ」と読者は感じるかもしれない。 だが、同じ仕組みは、実は歴史のほうでは当たり前のように起きている。

ある歴史的事件がおきるとき、それを実行するはずだった当事者Aが、 事故や病などで実行できなくなったとしよう。 そのとき、その歴史的事件そのものが「起きなかったこと」になるのかと言えば、 そうはならない。別の人物Bが引き継ぎ、形を変えながらも、 ほぼ同じ出来事が結局は起きてしまうことが多い。

世界にとって重要なのは、「AがやったかBがやったか」ではなく、 「その出来事が歴史の中に存在すること」のほうである。 父親を過去で殺しても子どもが消えない、というタイムパラドックスの解は、 この歴史の構造を“血脈”に適用しただけの話だ。

すでに生まれてしまった存在Xを守るために、 世界因果は父Aの代わりに父Bを繋ぎ、 「Xが生まれる流れ」を別ルートから補修する。 その補修点が、世界の深層に残るのである。