神の帳
〔第1部〕 菫色(すみれいろ)の故殺者
国立病院の看護師・藤堂ゆかりの右目には、人の「因果の重さ」が色として視える。 青、白、鈍――そして、ときに死を孕む“菫色”。 入院中の少女・芹沢澪の手には、誰も知らない“結果”だけが記されていく帳があった。 そこに浮かぶ名も線も、説明のできない死の予兆。 学校で続く不自然な事故。 「救い」を語る教師・白河碧人の周囲で、菫色は増え続ける。 彼は善意なのか、それとも言葉で人を追い詰める“優しい故殺者”なのか。 ゆかりの目が視る色。澪の帳に刻まれる名。 静かに崩落していく心の先で、命だけが落ちていく。 これは、誰も悪人になれない世界で起きる「優しい殺意」の物語。
〔第2部〕 飴色の血脈
ひかりは“赤みを帯びた黄” を視る。 ただ、死の因果だけが濁り始めていた。 同じ頃、澪の帳には、 ある一点から枝分かれする系譜と、 切り離された手の象徴が淡く浮かぶ。 それは、ひとつの死が孤立していないという合図だった。 無関係に見えた複数の死が、 同じ色と図像で結ばれ始めたとき、 血縁でも偶然でも説明できない “選ばれた死”の連鎖 が動き出す。 偽装された死。 消された系譜。 帳に現れない犯人。 そして、生者の未来にまで侵食していく 飴色の濁り。 静かに積もった違和が、 やがて大きな崩落へ変わる―― 『ホルスの涙』シリーズ第2部。
➤ 神視色環の解説(ホルスの涙:体系解説ページ)
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