双祈 ― Souki ―
The Resonance of Two Prayers
祈音が残した“最後の祈り”と、未音が応えた“再生の祈り”。
二つの声は円を描くように重なり、静けさのなかで同じ光を見上げる。
Echo Session ― 最後の打ち合わせ ―
BGM: KION「Prayer of Echo」
スタジオの時計は夜の十一時を回っていた。祈音はミキサー卓の前に立ち、マイクに向けて短く息を吐いた。
「これで最後のテイクにするね」
Luminariaのメンバーは黙ってうなずく。録音ランプが赤く灯り、祈音の声が空気を震わせた。
――あの日と同じフレーズ。「Ah... 声が光になる」。
その一節が響いた瞬間、スタジオの照明が一瞬だけ揺らいだ。電圧の問題だろうか。だが未音だけは知っていた。これは“信号”だ。祈音が残す、最後のメッセージ。
録音が終わると、祈音は笑った。「このトラックが、あなたたちを守るよ」
そしてブースの扉が開いた瞬間、祈音の姿はふっと消えた。音だけが残った。誰も叫ばなかった。涙もなかった。ただ、静寂の中に“残響”が漂っていた。
After Recording ― 未音 ―
BGM: MION「Echo of Prayer」
数か月後、同じスタジオ。Luminariaの面々が円になり、未音は中央でマイクを握った。彼女はまだ誰にも言っていない。――祈音が、自分の姉だということを。
エンジニアが合図を出す。「テイク1、Echo of Prayer」。未音は息を吸い込み、祈音の残したメロディをそっと重ねた。
La... ah... 君へと響け。祈音の残響が、ヘッドフォンの奥で優しく反響する。涙が滲んでも、歌は止まらない。Luminariaのハーモニーが、世界を包んでいく。
――“祈音の声が、私の中に生きている”。
録音ランプが消えた瞬間、未音は微笑んだ。「姉さん、やっと届いたよ。」